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能力不足の従業員に辞めてもらうときの対応

2016年07月20日
こんにちは。
社会保険労務士の杉山 加奈子です。

今回は、「能力不足の従業員に辞めてもらうときの対応」をテーマにお話させていただきます。

「採用した従業員が思いのほか仕事ができなくてこれ以上我慢できない。辞めてもらいたいのですが、どうすればいいでしょうか?」
といったご相談をお客様からよく受けます。
そもそも採用時の判断に誤りがあったとは言え、雇い入れてしまった以上後の祭り。
従業員が自分から辞めてくれない限り、我慢して雇用し続けるか、辞めてもらうかのどちらかの選択肢しかありません。

教育・指導によって改善の余地があるのであれば、長期的な目で育てていくのも1つの方法ですが、実際問題、人の能力には限度があり難しいかもしれません。
大企業であれば、その人の能力にあった職場・仕事に配置することも可能ですが、零細・中小企業となれば、ある特定の仕事をしてもらうためにその人を採用するケースが多いのでこれもまた厳しいでしょう。

能力不足による「解雇」は、争いが生じた場合、客観的にその能力不足を第三者に明確に示す必要があるので、実際のところ「解雇」の有効性を問われるとかなりハードルは高くなります。
よって、辞めてもらいたい=「解雇」と直結させるのではなく、
辞めてもらいたいときは、まずは「退職勧奨」を試みてください。

以下、私がよくオススメする退職勧奨時のフレーズです。

「君には、○○を期待して採用したのだけど、こちらが期待した仕事を遂行する能力に少々欠けていた。これまでも事あるごとに何度か指摘したが、やはり、ちょっとこの先この仕事を継続してもらうのは厳しいと思うんだ。適正を見抜けなくて安易に採用してしまったこちらとしても落ち度がないわけではない。とは言え、このままこの会社に居るよりも、君にとっても他で活躍の場を見つけた方がいいと思うんだよ。一度考えてみてくれないかな?これからのこともあるし、有休を消化しながら転職活動してくれても構わない。
もし、こちらの意向を汲み取ってくれたなら、今週中に退職届を提出して欲しい。退職日は有休残日数から逆算して決めてもらって構わない。君に任せるよ。」

文面にするとかなりキツイ内容ですが、こういった趣旨のことを、相手の反応をみながら、オブラートに包む形で順を追って話して下さい、とお願いしています。
相手のプライドをできるだけ傷つけない形が望ましいです。


「解雇」は最終手段。
労使双方納得のいく形での円滑な「契約解除」を目指してください。


● 編集後記 ●

労使の関係は、ある種男女の関係に似ています。
一度関係性が崩れてしまうと、双方の努力によって修復の可能性もありますが、それができない場合も往々にしてあります。

関係を終わらせると決めたときも、縁あって関係性を築こうとしてきた間柄なのだから、後腐れなく、しこりのないように、またお互いにとってプラスになるような「契約解除」であって欲しいものです。
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