社員に対し、制裁として懲戒処分を行うためには、 原則として就業規則にその種類と内容が規定されている必要があります。法的な解釈や判例によると、就業規則や懲戒規程に定められた懲戒事由以外の事由では、懲戒処分を行なうことはできないとされ、もし行なえば懲戒権の濫用と判断される場合もあります。
懲戒処分で最もトラブルが多いのが懲戒解雇です。
平成16年1月から労働基準法の改正され、「解雇ルールの法制化」ということで、「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」という条文が入りました。
これは従前の判例を積み上げて、「解雇権の濫用法理」を明文化したものです。
就業規則に定めのない事由による懲戒解雇は、不当解雇と看做されてしまいますので、実務上の対応としては、懲戒の種類とこれに対応した具体的な懲戒事由を明記しておきましょう。
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