社内で新姓使用を強制することは可能?

投稿日時 2014年05月20日 | カテゴリ: メルマガ

おはようございます。
社会保険労務士の杉山 加奈子です。

今回は、「社内で新姓使用を強制することは可能?」をテーマにお話させていただきます。

日本で夫婦別姓の問題が議論されるようになって久しくなりますが、先日、お客様から社内で新姓使用を強制することの是非についてお問い合わせいただきました。

夫婦別姓という考え方が社会で一部浸透してきている中、従業員に旧姓使用の申し出があった場合、新姓の使用をどこまで強制できるのか会社としても気になるところかもしれません。

法的に何か制約があるわけではありませんが、最近は、風潮として、旧姓使用を認めている会社も少なくないことから、新姓使用を強制することには慎重を期する必要があります。

数名規模の会社であれば、書類等を取り扱う事務担当者が把握していれば、旧姓を用いることにあまり問題はないかと思われますが、それなりの規模になってくると、事務担当者は大変です。
社外に出ていく公的書類関係は新姓使用、社内では旧姓使用といった二重管理はそれなりに事務の負担を強いられ、何らかのミスが生じてもおかしくありません。また、社外からの本人への問い合わせに、当人と合致できず、とっさに対応できない場合もあります。
少なくとも担当者が従業員の全員の顔と名前を把握していない状況では、二重管理は望ましくないかと思います。

このような理由から、従業員に新姓使用を強制するのであれば、新姓使用を会社のルールとして従業員に示し、理解を求めるところからはじめてみてください。以下のように就業規則の条文に示すのも1つの方法です。
但し書きにあるように、絶対的強制ではなく、個々の事情を鑑み旧姓使用の選択肢も残しておいてもいいかと思います。

○○条・・・婚姻等により姓が変更になった場合には、事務処理上の混乱を避けるため、原則、新姓を使用するものとする。ただし、やむを得ない事情がある場合は、その旨を会社に申し出ることにより例外として旧姓の使用を認める場合もある。


新姓使用の強制で、実際に民事訴訟になるようなことはまずないでしょうが、労使双方にしこりを残さないためにも、従業員の理解が何よりも大切です。


● 編集後記 ●

私の場合、小学生の頃から、好きな人ができるたびに、その人の姓と自分の名前を掛け合わせ一人で妄想を膨らませていたものでしたが、今は女性の自我の確立の意識が目覚ましいですね。

大学時代の友人に、大学院に進み博士号取得後、ずっと学問の世界で働いている人がいますが、彼女は結婚しても旧姓で仕事をしています。新姓に変えてしまうと、自分が旧姓で書いてきた論文などの実績、キャリアが新姓の自分とつながらなくなるからだと強く言っていました。彼女の話を聞いたとき、そんな彼女が羨ましく、過去の実績といった実績もなく、旧姓に微塵たりとも未練のない私はいったい何なのだろう・・・、と思ってしまいました。(苦笑)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 






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