こんにちは。
社会保険労務士の杉山 加奈子です。
パート主婦にとって、年収が「103万円」と「130万円」の2つの壁が存在するのは、
皆さん既にご存じかと思いますが、今回は、「年収130万円を超えてしまった場合の社会保険の取扱いについて」をテーマにお話させていただきます。
年収が130万円未満であれば、健康保険はサラリーマンである夫の扶養に入れ、国民年金は第3号被保険者(本人負担なし)となりますが、年収130万円を超えると夫の健康保険や厚生年金などの被扶養者等ではなくなるため、ご自身で保険料を負担しなければなりません。これを一般に「130万円の壁」と言います。
年収130万円を意識して収入(=勤務時間)を調整したつもりでいたものの、うっかり計算ミスで年末に源泉徴収票を受け取ったら130万円を超えていた。という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このような場合、すぐ扶養から外す手続きをする必要があるのか、パート主婦の友人からよく聞かれることがあります。
130万円の判断は、原則として、今後の収入が恒常的に年収130万円(月収108,334円)以上となるかどうかの「収入見込額」によって判断されるものですので、過去収入がたまたま130万円を超えてしまったからといってすぐ扶養から外れるものではありません。今後も130万円を超える見込みがある場合は、扶養から外してください。
ただ、正直「見込み」で申請するため、ご自身が扶養の範囲に適合するのか、とても曖昧なものであることは確かです。
現実には、130万円を優に超える状態であれば、仮に最低賃金(東京では、時給888円)で働いていたとしても勤務日数・時間が正社員の4分の3以上(一般的には週30時間)となっているはずですので、必然的にご自身が働かれている会社で社会保険(健康保険・厚生年金保険)に入る義務が発生するわけであって、そのタイミングでご主人の扶養から抜けるのでしょうね。
● 編集後記 ●
税法上の扶養の基準である103万円には非課税である交通費は含みませんが、健康保険の扶養の基準である130万円には交通費を含むのはご存じない方も多いのではないかと思います。しかし、前述にも触れたように130万円の基準がそもそも曖昧なものなので、そんなに目くじら立てて意識するほどのものでもないかもしれません。
ちなみに平成28年10月施行の法改正で、社会保険における被扶養者の認定基準が、年収130万円未満から年収106万円未満に引き下がる予定です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
|