パートにも年次有給休暇を与える必要があるの?
2015年11月20日
こんにちは。 社会保険労務士の杉山 加奈子です。
今回は、「パートにも年次有給休暇を与える必要があるの?」を
テーマにお話させていただきます。
経営者の中には
「パートには年次有給休暇(以下、「年休」。)がない。
年休を与えるのは正社員のみで構わない。」
と思っている方が多いようです。
そのような考え方は、
月給制の正社員は、休んだ日は欠勤控除をするのが一般的で、
時給パートは、休んだ日の働いていない時間は労働時間としてカウントされず、
賃金に反映されない
といった、賃金の計算方法に起因しているような気がします。
つまり、賃金に対する捉え方が、
正社員 = 控除方式
パート = 加算方式
なのです。
しかし、労働基準法では、正社員のみならずパートでも年休を与えなければなりません。
週1日勤務のパートだって、年休を与えなければならないのです。
そもそも、労働基準法第39条で定められている年次有給休暇の趣旨は、
「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るとともに、
ゆとりある生活の実現にも資する・・・」
つまるところ、「リフレッシュ目的」なので、週1日勤務のパートの人に年休を
与えることを義務付けるのは、何だか私自身しっくりこないのですが、現行の
法律ではそうなっています。
ただし、週1日勤務のパートの方に、正社員と同じ日数の年休を与えることに
なると、何となく不公平な感じがします。
そこで、労働基準法では、1週間の所定労働時間が30時間未満で、出勤日数が
少ないパートには、比例按分した年休の日数が定められています。
ちなみに正社員が初年度10日付与されるのに対し、週1日勤務のパートだと
1日となります。
出勤日数に対しての年休の付与日数は、下記リーフレットの表にてご確認ください。
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo- roudoukyoku/jikanka/20120307shikkarimasuta_yuukyuukyuuka.pdf
パートの年休の話は、奥が深いのですが、今日はさわりだけ。
来月は、また違った切り口からお伝えしていきたいと思います。
● 編集後記 ●
昨今の情報化社会、パートの方のほとんどは、ご自身の年休の権利について知っています。
ただ、請求しないだけです。社長の心中を察し、請求できないでいるのです。
ちょっとした不満がパートのモチベーションに影響してきます。
損して得取れ!!
もし、パートに年休を与えていないのでしたら、労使関係がギクシャクする前に、
年休の取り扱いを改めてみませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。