内定取り消しの留意点
2015年08月20日
こんにちは。
社会保険労務士の杉山 加奈子です。
今回は、「内定取り消しの留意点」をテーマにお話させていただきます。
内定取り消しに関してのご相談はよくあるのですが、実際あったケースを簡単にご紹介させていただきます。
今月から採用予定のA君。入社日初日から諸事情があって出社することが出来ませんでした。双方の話し合いの中、会社が譲歩する形で入社日を延期にしたものの、その日になっても結局出勤出来ず。
延期となったその日に出勤出来ないことはあらかじめ分かっていたにも関わらず、当日の朝その旨を伝え、社長の怒りを買うことに。ちなみに本人がいう出社出来ない諸事情というのも会社からすると腑に落ちないものでした。
社長もすっかり雇う意欲が失せ、「こんな状態じゃあうちでやっていくのはちょっと無理じゃないの〜?」と暗に入社をあきらめてもらうような発言に・・・。
このケースは、最終的に本人からの内定辞退となり結果オーライだったのですが、会社側は、本人の意に反して内定を取り消しする場合、慎重になる必要があります。
採用内定は労働契約の成立と見られますので、内定を合理的な理由もなく取り消すことは解雇権の濫用ともなり得るからです。
内定取り消しは、ある意味、結納後の婚約破棄に似ているかもしれません。
内定取り消しは労働基準法違反ではありませんので、解雇予告手当等の金銭を法的に支払わなければならないわけではありませんが、状況に応じてそれなりの代償は必要となる可能性があります。
内定を辞退して欲しい旨を伝え(あくまで要望&打診)、本人に自発的に入社を諦めてもらうような形にもっていければいいのですが・・・。
某テレビ局に内定していた女子学生がキャバクラに勤めていたことを理由に内定取り消しをしたことが無効になったのは有名な話ですが、言葉のやり取りには十分配慮していただきたいと思います。
● 編集後記 ●
新卒で入社したときに東大出身の同期がいましたが、彼は前年度内定をもらったにもかかわらず、単位が足らず大学を卒業できなくて内定取り消しになったとのことでした。
内定取り消しと同時に翌年度のシード権は得ていましたが・・・。
私が入社した年は「就職氷河期」と言われた時代。何とも羨ましいことです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。